サバ詩集を読みながら  

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サバ詩集を読みながら


サバ詩集を読みながら  (2012年7月作)


*サバ詩集を読みながら

抱きついて僕だけのものという夏
自分より薔薇色を子に祈る夏
「妻」という詩のある丁で雷来
ただいまでくちなわになる妻の腕
汗を領ちこの悲しみは領けられず

世界一愚かな夏の福島よ
トリエステに飛んで行きたい黒揚羽
シロッコに吹かれてみたい挵蝶
サバ詩集閉じてシャワーを浴びに立つ
不眠症取り繕って髪洗う


*ベン・シャーンに嘆きながら

書き出しに死ある「マルテの手記」が好き
「小さな草花のたたずまい」が好き
これを持っていた麻生三郎が好き
この花を描いたベン・シャーンが好き
猛暑日の福島県立美術館

絵葉書を飾って「至福」麦畑
「飛ぶ鳥の姿」を真似て冷蔵庫へ
桃啄む誰ひとり不死ではないぞ
星いっぱい棲みに来たひと死ぬために
この星を骨いっぱいにするために


*牛飼いを思いながら

青草の青付けて逢いに来ればいい
木苺を摘んだ手ひかりごと食べて
長虫を追っ払って駆け出して
勢いでヒーローになる二重虹
おんつぁまが酔って踊って夏座敷

野馬追の祭りに呼ばれ定め酒
朝焼けは海ではならぬ、諾
冷し酒仮設なんかで飲まぬ、諾
土用太郎相馬焼には罅の音
新相馬節聞きたいか雲の峰


*金魚草を眺めながら

金魚草見なくていいの死んじゃって
とお以上薔薇の名を言えないくせに
もしかしてもう怖くないはたた神
すぐりの実匂いもせずに逝っちゃって
生きててもしかたがないと抜けた夏

キウイって猿梨だって知っていた?
誰がミスうねめになるか知っていた?
死ぬべきでないこんなにも未知の夏
時計外して玉葱を切る小さく
小さく小さく切ってまだまだ夏の宵


*ヘイ・ジュードを聞きながら

ソファーにはルネッサンスと歳時記と
図録には天使百体詰まってる
受胎告知膝に抱えて夜を明かす
東方の三賢人で鳩が飛ぶ
磔刑図繰れば聖火が浮かんでる

嗚呼ピエタ女王様の嗄れ声
聖母子のページで不意にヘイ・ジュード
ベランダに出て夏草に告ぐ五輪
金も銀も要らないと言う露草よ
ハンギングバスケットから涙落つ




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