三尺寝

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三尺寝


三尺寝 (2013年7月作)


*三尺寝

放れ牛呼び戻してる三尺寝
底翳だし七月場所も終わりだし
ビール飲んでスローモーション草の罠
夏草を十言ってみる眠るまで
牛の背に分けられて夏草と空

牛の目に落ちそうになる巴旦杏
昼寝人昭和六年生まれとか
柱には昭和の暦牛洗う
夏の川牛飼いの膝渡らせよ
蛇泳ぐ夢見たと告ぐひとも無し


*烏柄杓

ベランダの烏柄杓に水を遣る
箒木を撫でれば丸し魂も
露草を盗品のごと隠し持つ
野葡萄は実らずここは敵地とて
カンパニュラそう呼びかけて息を吸う

発条を解きに掛かる薔薇の風
金魚草警報が出て立ち泳ぎ
何処までも藜伸ばしてしまいけり
甘野老の花咲かずとも吾の軍
松葉菊きらきらマイクロシーベルト


*夏の霧

古手紙混ぜて塵の日夏の霧
思い出を半分消して夏座敷
生きて来た夏より遠い半減期
一本の氷菓で今日を我慢して
他愛無くギブアップして洗い髪

様々なもの見たひとに夏帽子
サンダルの右足の指古い痕
変わらずに安達太郎が盛り上がる
原発の百物語語らずに
野馬追の法螺貝少年作業員


*夏の月

逃げながら追いかけてくる夏の月
昔居た猫と出会って夏北斗
蛾が隠す視界の後ろ鬼の面
直面で暮らす真昼の暑さかな
どの役も降りたい夏を桛輪持ち

鍬の柄に鬼蜻蜓止め誰か来る
杣人がリュックに差した虎の尾よ
ゲートルを外し跣の亡霊も
桑の実を含んで黒い子らの来る
猫の名を呼びながら来る夏親族
 

*木苺

木苺の実に点ってる明るい灯
鬼灯の中のお日様出してやろ
山姥にすれ違う時晩夏光
流星を誘惑したい蕃茄かな
優曇華や如何なる曲の楽譜とて

序の舞は草蜉蝣の薄い衣
早舞はまいまい虫の水舞台
二幕も悲劇ばかりが続かない
夏の夜あっちこっちに太郎冠者
どの夏にこの戦場を古戦場




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