秋彼岸

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秋彼岸


秋彼岸
             
島秋人
木犀の香嗅がせよ借り出して図書館の翳秋に連れ出す
北向きの書架に寂しい島秋人11月が処刑のページ
美しい星とも言える獄舎とも成層圏を出て行く時は

従兄弟
会う時は10歳の夏向日葵と私の方がまだ背の高い
私たち同級生の筈なのに思い出をまだ語っていない
廃校の校庭に飛ぶ白い球川に入ればホームランだね

子規
柿剥いてすぐには食べず視てしまう食いしん坊の子規愛しくて
ココア入りミルク一碗喉鎖骨鼠の手など指に確かめ
草の絵も描けるし茂子硝子窓綺麗だし黙って寝ねよ

祖母
四五匹の金魚の死んだ金魚鉢祖母が仕舞って夏のエチュード
黎明の厨の重い道具たち今日髪を切る病の祖母
花鋏持ってみたいと思ったり漬物石と鉄瓶火箸

賢治
お茶の店探して小道分け入れば団栗の実の毬ごと落ちて
森に住む女主のツンとして猫嫌いならお断りです
今日の夕朗読会もやりますと告げるボードに賢治の童話

祖父
小庭には露草の花咲いたから杣びとら祖父来て歌うべし
ベランダをhidden gardenそう呼んで烏柄杓も隠し持ってる
もうここは死者の方からよく見えて地上を離れ隣を離れ


何匹の小鳥が来てもそれぞれの声で私に地獄に落ちる
盲目の振りして暮らすセシウムで瞼の裏を真っ青にして
何ごとも原発の地で無いような芝居をしてる罪びとだから


水が好き馬穴も笊も瀬戸欠の魚も象もアリゲーターも
水が好き花も葉っぱも雷も鯨も熊も響尾蛇も
水が好き掌と指唇も死に行くものも水鉄砲も

竜胆
竜胆の何万本で海神は許したもうぞ福島の水
テーブルの花の向こうでテレビから御嶽山の憤怒の煙
溜息でテレビを消すとそこにある微かに笛と太鼓の音は

秋祭
鬼が来て今川焼きをひとつだけ袋に入れてもらったところ
心には顰の面を着けている時々透けて横顔に出る
彼岸明け八幡さまの秋祭り匂い匂いの夜店の灯り




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